極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
話を振られた父が言い淀んでいる。ここに来て結婚に乗り気だった父が迷い始めた。何があったというのか、わからないがこれは好都合だ。
「会社の為に好きでもない人間と政略結婚など母が聞いたら嘆きますよ?母は俺達息子には本当に好きになった人と結婚してほしいと生前言ってたのは知ってるでしょう、父さん?」
母の話を出して父の弱みにつけ込んでみたが結果はどうだろうか?黙ったまま考えこむ父を見つめる。

「政略結婚だなんて!私は純粋に流星さんが好きだから…!」
「俺の地位と高槻コーポレーションだからだろう?新山会長に何がなんでも俺と結婚しろと発破を掛けられてるのも知ってるんですよ?案外新山家の方がうちの家柄を欲してるんじゃないですか?」
「そ、それは…」
狼狽えてる新山を無視して前を見ると眉間にシワを寄せる父と目が合う。

「それと、俺には結婚したい人がいる」
「なんですって!?」
「ほう、それは初耳だな。そんな人がいたならなぜそう言わなかった?」
「それは…あまりに近くにいすぎて、自覚したのが昨日だったので…」
父が興味津々で聞いてきて少し言い淀んでしまった。情けないが事実なのだから仕方が無い。
父はそんな俺を可笑しそうに笑う。
「クク、そうか。で、相手は誰だ?」
その名を口にしたときの父の意外な反応に俺は驚いた。

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