極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい


「そんなおじ様酷いわ!流星さん!それは気の迷いかなにかでしょ!?あんな子…!」
文句を言ってくる新山を社長室から追い出し戻って来た秀弥に引き渡した。あいつに任せておけば二度と新山は俺の前に姿を表す事は無いだろう。まったく、秀弥は敵にはしたくない奴だ。
これで煩わしい問題は消えた。…筈だったのに…。叶に逃げられては立つ瀬が無い。


「高槻様、大丈夫でございますか?」
レジデンスのコンシェルジュが心配そうに来て水を用意してくれた。
「大丈夫だ。すまない…」
額に手をやり天を仰ぐ。ライトの明かりが目に滲みるようだ。

暫くソファーで休んでると胸の苦しさも目眩も消えた。俺を軽く診察して一度外へ出ていた和泉が戻ってきた。
「兄さん、心配だから病院に行って検査しよう」
「いや、いい。ただの寝不足だ。それより叶を探さないと…」
「叶ちゃんと何があったのさ?まあ、最近の兄さんは叶ちゃんに冷たかったから愛想つかされたんだろうけど」
「はあ?」
立ち上がった俺に和泉は立ちはだかり呆れた顔をする。一瞬眉間にシワが寄ったが、自覚はあるので言い返すことはしなかった。
叶がどんな思いでいたのか知ろうともせず、俺の元を去ると決めた叶に冷たい態度しか取れなかった。
しかし、さっきは叶の心の叫びを聞いた気がする。自惚れでなければ叶も俺と同じ想いなはずだ。


………

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