極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

叶side

………


「斗真さん…私…」
心が揺れる。
私は流星さんの側から離れた方が幸せになれる?
斗真さんといれば穏やかで温かい毎日が送れるのだろうか?まるで、家族と暮らしていた時のような………。
「え…叶ちゃん?」
斗真さんの腕が私を包み込もうとしたとき、気付けば腕を伸ばして斗真さんの胸を押してた。
距離を取って一つ深く息を吐く。
「ごめんなさい斗真さん。斗真さんは私には勿体ないくらい優しくて素敵な人です。でも…」
ゆっくりと斗真さんの顔を見上げると何かを悟ったような柔らかい表情で先の言葉を待ってくれていた。
「きっと斗真さんのところに行っても流星さんを忘れられないでしょう。どこにいたって私には流星さんだけなんです」
「俺ではだめなのか?流星の側にいたって不幸になるだけだぞ?」
優しく諭すように言ってくれる斗真さんに私はゆっくり首を横に振った。
「私は、周りから見たら不幸に見えるかもしれない。でも例え流星さんが結婚して側にいられなくても、どんなに辛くても、近くに居たいんです。流星さんを近くに感じることが私の幸せなんです。だから高槻家の家政婦は辞めません。斗真さんの気持ちには応えられません。ごめんなさい」
深々と頭を下げるとため息が聞こえた。
「叶ちゃんの決意は硬いんだな。まったく羨ましいよ、流星には聞かせたくないな」
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