極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「え…?」
顔を上げると斗真さんは首の後ろを掻いて笑っていた。
失礼なことを言ってると思うのに怒ってる様子のない斗真さんに少しホッとした。
斗真さんの笑顔はひだまりのように暖かくて、なぜか私を安心させてくれる。
私もつられて頬が緩んだとき携帯が着信を知らせた。

バックから取り出してみると和泉さんからで、出ようかどうしようか悩んでいると斗真さんに出なよと促され恐る恐る出ることにした。
「…はい、叶です。和泉さんどうかしましたか?」
「あ、叶ちゃん?今どこにいるのかな?」
「あ…えっと…」
言い淀んでると和泉さんが思わぬことを言った。
「今すぐレジデンスに戻れないかな?実は兄さんが倒れてね…」
「え?倒れた…!?」
「今レジデンスのエントランスで休ませてるんだけど……」
その後の和泉さんの言葉は耳に入って来なかった。
もしかして流星さんは体調が悪かった?流星さんが倒れたのは私のせい?いきなり逃げて来なければ流星さんは倒れる事はなかったかもしれない。
「どうしよう…」
「どうかした?」
斗真さんが青ざめる私を覗き込んでくる。
「流星さんが…倒れたって…」
「流星が?まさか…。ああ、あいつここ最近体調悪そうだったからな…」
「い…行かなきゃ…!」
寝不足だろ、と言う言葉を聞く前に私は弾けたように走り出していた。
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