極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「……まごにも…」
「衣装!」
流星さんが顎に手をやり呟いたのを最後まで言う前に私は遮るように言った。
馬子にも衣装。似合ってないと言う揶揄だけど自分でもそう思うからそう言われても傷つかない。
ニコニコと笑ってるからか流星さんは瞬きをして驚いていた。
「…いや、似合ってるよ。少し大人びて見える」
「へへ、こんな綺麗なお着物かしていただいてありがとうございます」
それは普段子供っぽいと言うことですか?とは聞けないからへらっと照れ笑いで誤魔化す。
流星さんから見たら私はまだまだ子供。そっちの方がショックだとは言えず心の中で落ち込んだ。
「かんざし…」
ふと頭の後ろに覗くかんざしに目を付けた流星さん。
「あ、これ大和さんが買ってくれたんです。お着物が素敵だからって」
その時の茉子ちゃんと大和さんの微笑ましいやり取りを思い出して頬が緩んだ。
「へえ、大和が…」
その地底から響くような低い声にびくぅっ!と背筋が凍った。
何かおかしなことを言ってしまっただろうか?それとも大和さんに買ってもらうのはいけなかっただろうか…?
恐々と流星さんを見上げると目を細めかんざしを睨んでいた。
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