極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
流星さんに見つめられるとドキドキして綺麗な碧眼は目力があってつい引き込まれてしまう。
暴れる心臓を落ち着かせるように撫で後を追おうとしてはたと思いついた。
あづま堂の紙袋からもう一つの琥珀糖を持ち出すと流星さんを追った。
丁度書斎の前に行くと流星さんが出てきたけど手には何も持っておらず、私を一瞥すると流星さんはそのまま玄関へ向かう。
「今朝も言った通り帰りは遅くなるから先に休んでいろよ」
「はい、かしこまりました」
うんと一つ頷いて出て行こうとする流星さんを慌てて呼び止める。
「あ!流星さん!」
「ん?」
「これ、あずま堂の新作だそうです。日持ちもするみたいなのでオフィスに持って行って疲れた時に食べてください」
琥珀糖を差し出すと受け取った流星さんはじっとその小箱を見つめている。
「斗真さんがおまけで入れてくれたんです。とっても綺麗な砂糖菓子ですよ。疲れた時には甘いものを摂るといいですから」
「斗真か…ああ、そうするよ」
眉を上げた流星さんは琥珀糖を持って出て行く。
「行ってらっしゃいませ」
いつものようにドアが閉まるまで頭を下げかちゃりとしまる音がした。
< 20 / 168 >

この作品をシェア

pagetop