極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

「ふーん、叶とリュウ兄ってさ、一つ屋根の下で二人きりで住んでるだろ？そういう雰囲気ならないの？」
「え？そういう雰囲気って何ですか？」
風雅さんの言ってる事がわからなくて首を傾げた。風雅さんは伺うように私を覗き込み綺麗な瞳と目が合ってドキッとする。
「いくら雇い主と家政婦ったってさ、男と女が一緒に暮らしてたらイヤでも意識しない？一線超えたりしないの？」
「とっ…とんでもございません！そんなこと絶対あるわけ無いじゃないですか！」
何を言いたいのかやっとわかって血相を変えて頭をブンブン振った。流星さんと私の間にそんな雰囲気はまったくと言っていいほど無い。あくまで私達の間柄はご主人さまと家政婦なのだ。
「へえ、じゃあ叶はリュウ兄のこと好きなわけじゃ無いんだ」
「そ…そんな恐れ多いこと…ありません……」
だんだん尻すぼみになる言葉は途切れ、顔色を伺おうとする風雅さんを避けるように俯いた。
好きでいることは自由だと思う。だけどその言葉は口に出してはいけない。