極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

「…ま、そうだよな。リュウ兄は高槻家の跡取りだし、いずれ決められたどっかのお嬢様と結婚するんだから好きになっても無駄だよな」
「……」
肩を竦めた風雅さんは当たり前のことを言っているだけ、なのにその事実が胸に突き刺さる。
いつか、流星さんは素敵な奥様を迎えるのだろう。家政婦を続ける限り私はその奥様にもお仕えするんだと思うと胸が潰れそうだった。
流星さんと奥様が二人仲睦まじくしているのを冷静に見ることが出來るだろうか…。
「ま、その点俺は三男だし結婚は自由だから、叶は俺がもらってやるよ」
「…それは、風雅さんが私を雇ってくれるということですか…？」
「そうじゃなくて！…ま、今はいいや。それよりデート！デートしよう！」
呆然としてる私の顔を見た風雅さんは一瞬顔を顰めすぐにいつもの明るい顔に戻すと私の手を取り走り出した。
「まっ待ってください！」
付いていくしかない私も足が縺れるように走り出した。