極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「あの、お客様が…」
私が言い終える前に流星さんはスタスタとリビングに向かった。
「これは、どういうことですか?」
剣のある声色にみんなが振り向いた。
「おお、流星遅かったな。保奈美さんをうちに招待したんだ。みんなで食事をしよう」
「ここは俺の家ですよ、勝手なことはしないで頂きたい」
「では、私を追い出しますか?」
新山さんは恐れることなく優雅に笑った。その美しさに私は息を呑んだ。
「…叶、鞄を」
「は、はい」
流星さんは諦めたのかひとつ息を吐いて後ろを振り向き私に鞄と上着を預けた。
鞄を仕舞いに行ってる間に流星さんたちはダイニングの席に着き食事が始まった。
「旧華族新山家のご令嬢な上に聡明でこんな素晴らしいお嬢さんは他にいないぞ?なあ、流星」
「まあ、おじさま恥ずかしいですわ」
「……」
終始ご機嫌の旦那さまと新山さん。その向かいで憮然とした態度の流星さん。
不穏な空気に私はずっとハラハラし通しだった。
「ところで叶、お前は流星が結婚しても家政婦を続けるのか?」
「え?あの…」

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