極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
家に戻ると流星さんはまた書斎に籠ってしまったようだ。
リビングでは旦那様が憮然とした顔でお酒を召し上がってる。
「叶、お前がずっとここに居ると流星はいつまでたっても結婚しないだろう。お前が悪いわけじゃないがアイツはお前を守るのに必死だ。お前も流星が結婚したらここに居辛いだろ?自分から離れた方がいい。私が引き取るから本家に来なさい」
「…はい」
旦那様は何もかもわかってる様子で、私が頷くと満足そうに頷いた。
「早速、屋敷のリフォームが終わったら私たちと一緒に本家に来なさい」
「かしこまりました…」
私はそれだけ言うとキッチンで洗い物をしてるだろう紀子さんの元に向かった。
「あ、叶ちゃんお帰り」
「紀子さん私、皆さんと一緒に本家に行くことに決まりました…」
呆然とした顔でそう言うと紀子さんは慈愛に満ちた顔で微笑んだ。
「…そう。じゃあ、これからもよろしくね、叶ちゃん」
「…はい。よろしくお願いします…」
ゆるゆると頭を下げるとぽんと肩を叩かれた。
「叶ちゃん流星様にこれを持って行って。お酒を召し上がりたいんですって」
気を取り直すような明るい声に顔を上げるとお盆を持たされた。それは流星さん愛用の冷酒セット。
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