極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
夜9時、オフィスビル前で待ち合わせをした。
私はいつもの格好で薄いニットのチュニックとジーンズ姿。でも、斗真さんはビシッとスーツ姿で現れて驚いた。
「え?あの、きちんとした格好した方がよかったですか?」
「ん?叶ちゃんはそのままでいいよ可愛いから」
「い、いやいや、そうじゃなくてですね」
いいからいいからと強引に背中を押され、オフィスビルへと入って行った。
レジデンスからここは目と鼻の先なのに私は一度も足を踏み入れたことが無かった。
58階建ての高層ビルは下からライフサービスゾーン、7階からオフィスゾーン、49階からホテル、54階から上は高級レストラン、会員制VIPバー、会員制ラウンジ、展望台と続き、49階から58階の高層フロアが高槻コーポレーションの本社が入っている。屋上にはヘリポートまであり、上層階級の人たちが行き交う。庶民の私にはとても近寄れない。だから知らなかった、ドレスコードがあるなんて。焦る私を大丈夫だからと笑う斗真さんに連れられてエレベーターが止まったのは46階の会員制ラウンジだった。
「こ、ここですか?」
会社に連れてかれると思っていた私は、ふかふかの赤い絨毯に続く先の重厚なダークブラウンの扉を見て戦慄いた。

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