極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

「ん？どうした？実家に行くのは気が進まない？流星の親父さんや風雅は叶ちゃんに優しくないのか？」
「いえ！とんでもない！皆さんこんな私に良くしてもらってます。温かくて家族みたいで毎日楽しいです。ただ…」
「ん？ただ？」
言っていいものか戸惑って躊躇してると斗真さんは何でも言ってと優しく微笑んでくれる。
これは高槻家の人達には絶対言えない。でも、誰かに聞いて欲しかった。
「…高槻家の方々は温かくて楽しくて大好きな人達です。でもそこに、流星さんが足りない…」
「え？」
「どんなに楽しくても、笑っていても、そこに流星さんがいないと心は淋しくて悲しくて…私は凍えたように震えるんです。体も海の底にいるように沈んで冷たくてどんなに温めても温まらない」
込み上げてくる涙は温かいのに顔を覆う手は氷のように冷たい。
流星さんが居なくなってから私は温まる術を持たない小鳥のように震えてばかりだった。
「叶ちゃん…」
絶句したように私を見ていた斗真さんは私の手を掴んで引き寄せた。私は濡れた瞳で斗真さんを見上げる。