極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
今日は情けない自分を出し過ぎた。
茉子ちゃんや生徒さんたちに心配されて申し訳なかった。先生だけはまた来月ねと優しく微笑んでくれた。
レジデンスに戻り荷物の整理をする。私の荷物など直ぐに用意できるほど少なかった。
高槻家の人達は一足早く本家へと向かった。
後は立つ鳥跡を濁さないように、隅々まで忘れ物やほこりが無いかチェックして、帰ってきた流星さんの為にいつものお酒を用意し、冷蔵庫には当分困らないくらいの食材と調理したおかずを入れておいた。流星さんは自分でも料理をする人だけど、一人だとあまり食べず食事を抜くことが多いから少し心配だ。
翌日、全てを終えて最後に流星さんの書斎へ入った。
読書家の流星さんの書棚にはびっしりと難しい本が並んでいる。
机の上には本を読むときにしかかけない黒縁眼鏡が一つ置いてあるだけ。
お花のお稽古で貰ってきた花はもう枯れてしまって花瓶は片づけた。
流星さんがこの家に帰って来なくなってもう2週間は経ってるだろうか？主のいない部屋は寒々しくて、私は冷たい手を両手で握った。

「流星さん、私はあなたと出合えてとても幸せでした。どうか流星さんも幸せになって下さい。2年間お世話になりました」
誰も座っていない椅子にぺこりとお辞儀して、私はゆっくりと部屋を出て扉を閉めた。




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