極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

「叶！」
「風雅さん？」
呼ばれて振り向けば風雅さんが家から出てきた。いまから大学に行くのだろうリュックを背負っている。
「ここに居た、なあ叶、今日こそはデートしてもらうよ」
「え？あの…私は…」
困惑して言い淀んでしまう。やっぱり私は気が進まない。
「だめ、だって今日、叶の誕生日だろ？」
「なぜそれを…」
そう、今日は私の二十歳の誕生日だった。誕生日の事は誰にも言わずに大人の仲間入りをしたのだとかみしめながら一人静かに過ごそうと思っていたのになんで風雅さんが知ってるのだろう？
「リュウ兄から聞いた。叶を祝ってやってくれってさ」
「流星さんが…」
私の事など放っておけばいいのに、ここでも流星さんは私に優しさを見せる。泣きそうになるのを我慢してると風雅さんは一瞬顔を歪ませた。
「今日はお祝いしてあげたいから、7時にあのワンピースを着てベリーヒルズビレッジのオフィスビルに来て。いいね、約束だよ！絶対来るんだぞ？」
「あっ！風雅さん！」
言うだけ言って風雅さんは行ってしまった。
気は進まないけど、行かないと風雅さんの気持ちを蔑にしてしまうことになる。
行くしかないと自分に言い聞かせた。