極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
はんなりから出るとまたばったり大和さんと会った。どうやら私達を見かけて待ってたよう。
「あ…」
お互い目が合うと茉子ちゃんと大和さんは気まずそうな顔をする。
「ほら、茉子ちゃん」
私は茉子ちゃんの背中を押して大和さんの前まで連れてくとポンと背中を叩いた。
「茉子ちゃん…さっきはごめん」
「ううん…私も…」
もじもじしてる二人が微笑ましい。もう大丈夫、と、私はそっとその場を後にして歩き出した。

あづま堂の前に差し掛かるとまた人だかりが出来ていて、窓の向こうでは斗真さんが真剣な表情で和菓子を作っていた。いつも見せる凛々しい姿、やはり斗真さんは素敵な人だ。
会いに行くのは気まずかったけど、旦那さまのお使いでお菓子を買いに行くことになって、意を決して斗真さんと会った。その時にお詫びと斗真さんの想いには応えられないと話したけど、斗真さんは「まだ、聞かなかったことにする」と、応じてはくれなかった。けど、気にせずお菓子を買いに来てよと笑っていた。
有り難くも申し訳無くてやっぱりちょっと気まずいけど、斗真さんはいつもと変わりなく接してくれるのでちょっと安心した。
今日は忙しそうなので姿だけ見てそのまま通り過ぎることにした。
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