お見合い結婚します―お断りしましたが?
25.結婚式
結婚式の当日、僕の両親は金沢から始発の新幹線に乗ってやってくる。これなら原宿の式場で11時から行われる式には十分に間に合う。まあ、便利になったものだ。
兄貴の家に前泊してもよかったと思うが、そうはしなかった。そして日帰りすると聞いている。兄夫婦の厄介にはなりたくないのだろう。
僕は10時までには式場に到着してほしいと言われていたが、それよりも早く到着した。もう奈緒の一家は到着していた。いつもながら家族の行動も早い。
着替えが終わったところで、待合室に両家族がそろっているのを確認するとほっとした。これで無事に式が挙げられる。
落ち着いた雰囲気の中で結婚式は始まった。立ち合いは両家族だけだ。
奈緒が父親の幸一さんとバージンロードを歩いて来る。式の前にも見てはいたが、ウエディング衣装につつまれた奈緒はとても清楚で綺麗だった。こんなに綺麗だったのかと惚れ直した。
式が進んでいく。指輪の交換の後に誓いのキスをした。奈緒とキスをしたのはこれが初めてだった。ほんの1、2秒だったが、このとき奈緒との約束は反故になったと思っている。式はあっという間に終わって、僕と奈緒は夫婦になった。
二人だけの結婚写真を撮って、家族も入った全員の記念写真も撮った。式の様子は奈緒の弟の正人さんと兄貴がビデオにも撮ってくれた。思い出の記録はこれで十分だ。
婚姻届けは会食が終わったら、奈緒の両親が僕たちに代わって代理提出してくれることになっている。それは奈緒が望んだことだった。
着替えをして食事会の会場へ向かった。すぐ近くのレストランの個室を予約してあった。奈緒の家族4人と僕の家族は両親と兄夫婦と3歳の男の子の6名で計10名の会食だ。
なごやかに会食は進んだ。兄夫婦は奈緒の弟さんが小児科の研修医だと知って、困った時に相談できると喜んでいた。ただ、母と兄嫁の弥生さんとはあまり話がはずまないのが気になった。嫁姑はうまくいかないみたいだ。
2時過ぎに食事を終えてお開きとなった。僕の両親はこれから新幹線で帰るので、東京駅まで一緒に向かった。時間があったのでホームで両親を奈緒と一緒に見送った。
僕たち二人は午後3時過ぎの新幹線で小田原へ行って、そこで箱根登山鉄道に乗り換えて強羅へ向かう。二人は一泊二日の旅行なので小さなバッグを持っている。
新幹線が東京駅を出るとすぐ奈緒の膝の左手の上に僕の右手を重ねた。僕がこうすることを奈緒は予期していなかったみたいで飛び上がるほど驚いていた。でも何も言わなかった。そしてすぐに僕のその右手に彼女の右手を重ねてくれた。
「もう、いいんだね」僕がそう言うと奈緒は頷いてくれた。そして何事もなかったようにそのまま外を見続けた。
兄貴の家に前泊してもよかったと思うが、そうはしなかった。そして日帰りすると聞いている。兄夫婦の厄介にはなりたくないのだろう。
僕は10時までには式場に到着してほしいと言われていたが、それよりも早く到着した。もう奈緒の一家は到着していた。いつもながら家族の行動も早い。
着替えが終わったところで、待合室に両家族がそろっているのを確認するとほっとした。これで無事に式が挙げられる。
落ち着いた雰囲気の中で結婚式は始まった。立ち合いは両家族だけだ。
奈緒が父親の幸一さんとバージンロードを歩いて来る。式の前にも見てはいたが、ウエディング衣装につつまれた奈緒はとても清楚で綺麗だった。こんなに綺麗だったのかと惚れ直した。
式が進んでいく。指輪の交換の後に誓いのキスをした。奈緒とキスをしたのはこれが初めてだった。ほんの1、2秒だったが、このとき奈緒との約束は反故になったと思っている。式はあっという間に終わって、僕と奈緒は夫婦になった。
二人だけの結婚写真を撮って、家族も入った全員の記念写真も撮った。式の様子は奈緒の弟の正人さんと兄貴がビデオにも撮ってくれた。思い出の記録はこれで十分だ。
婚姻届けは会食が終わったら、奈緒の両親が僕たちに代わって代理提出してくれることになっている。それは奈緒が望んだことだった。
着替えをして食事会の会場へ向かった。すぐ近くのレストランの個室を予約してあった。奈緒の家族4人と僕の家族は両親と兄夫婦と3歳の男の子の6名で計10名の会食だ。
なごやかに会食は進んだ。兄夫婦は奈緒の弟さんが小児科の研修医だと知って、困った時に相談できると喜んでいた。ただ、母と兄嫁の弥生さんとはあまり話がはずまないのが気になった。嫁姑はうまくいかないみたいだ。
2時過ぎに食事を終えてお開きとなった。僕の両親はこれから新幹線で帰るので、東京駅まで一緒に向かった。時間があったのでホームで両親を奈緒と一緒に見送った。
僕たち二人は午後3時過ぎの新幹線で小田原へ行って、そこで箱根登山鉄道に乗り換えて強羅へ向かう。二人は一泊二日の旅行なので小さなバッグを持っている。
新幹線が東京駅を出るとすぐ奈緒の膝の左手の上に僕の右手を重ねた。僕がこうすることを奈緒は予期していなかったみたいで飛び上がるほど驚いていた。でも何も言わなかった。そしてすぐに僕のその右手に彼女の右手を重ねてくれた。
「もう、いいんだね」僕がそう言うと奈緒は頷いてくれた。そして何事もなかったようにそのまま外を見続けた。