あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「懐かしいな。この感じ。」
先輩がふと上を見上げた。
大きな木の下。二人並んで授業をサボったことを思い出す。
先輩も覚えていてくれたことがうれしくて私は思わず先輩を見た。

「あの時も今も。お前、ほぼすっぴんだな」
「はっ！」
私は思わず持っていたジェラートで顔を隠そうとする。
「いいよ。いまさら。いつもすっぴんみたいなもんだろ。」
「ひどい。ちゃんと化粧してます！」
「そうですか～。」
先輩は大きな口でアイスをどんどんと口へ運んでいた。
私もとけ始めたアイスをすぐに口に運ぶ。

「おいしい・・・」
「よかった。」
「ありがとうございます。」
「いいえ。」
私たちはほとんど言葉を交わさないままアイスを食べ、飲み物を飲み、穏やかなひと時を過ごした。