あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「これ、俺が一番気に入ってたデザインのやつじゃん。」
そう言って先輩が私の選んだ財布を見る。
「さっそく使う。」
先輩は自分のポケットに入れていた今まで使っていた財布からさっそくカードやお金を出して移し始めた。

私も先輩からのプレゼントを開ける。

「え?」
袋の中には小さな箱がふたつ入っていた。
思わず先輩を見ると先輩がいたずらに笑っている。
ひとつは私が気に入っていたデザインの財布。そしてもう一つは・・・
「これはまだ右手用な」
そう言って先輩が小さな箱を開けた私の手から箱を受け取り、私の右手の薬指に指輪をはめた。
小さな箱に入っていたのはピンクゴールドの小さな花を形どったダイヤがついた指輪だった。

「なんで?」
「これは俺の気持ち。まだ、知佳は23歳だからさ。社会人になって一年もたってないし。人生まだまだこれからだろ?だから左手の薬指にははめられない。でも、何か身に着けてほしくてさ。このくらいのデザインなら仕事中も身につけられるかと思って。少しは離れても寂しくないだろ?」
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