あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
先輩はその日から朝早くから夜遅くまで仕事が詰まっているようだった。

私も先輩と二人でやっていた仕事を一人でやるのにかなり時間がかかった。
私はまだ要領が悪い。災害も影響してやってもやっても仕事が溜まっていった。

ばたばたとしたまま年末年始の休みに入ることになった私と先輩は大みそかの日も休日出勤することになった。

「頑張ってるわね」
私に声をかけてくれたのは営業Ⅱ課のフロアの入り口にいる女性の先輩だった。桐谷先輩が好きで、私にあたってきたこともある。でも桐谷先輩が研究チームに行くようになってからはやけに優しくなった。
「あなたもかわいそうに。桐谷さんと離れて寂しいでしょ?」
と同情してくれているらしい。いつの間にか私も同志扱いだ。
でも今はそれすらありがたかった。先輩がいなくなったフロアで寂しさを埋めるように仕事をしている私にとって、誰かが話し相手になってくれるだけでも気持ちがまぎれる。

「ランチ、行かない?」
「はい」
初めて誘われて私は女性の先輩と一緒にランチすることにした。


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