あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
先輩が頷く。
「でも、違いました。」
「?」
「かなり厳しくて。ドSなんです。よく見ると時々髪が乱れてたり。目の下にクマがあったり。仕事でミスしそうになることもありました。もちろん、そこに気づくのが先輩なんですけど。」
「そうなの?」
「はい。先輩は完璧なんじゃなくて、完璧じゃない自分を隠す努力ができる人なんだって思いました。」
「・・・隠す?」
「はい。ミスしそうになる時。ミスにならないのは何度も自分で確認しているからなんです。」
「桐谷さんがね。意外ね。」
私が見て来た心平先輩の姿を話しているうちに、懐かしくて話が止まらなくなった。

「あなたも桐谷さんが好きなのね。」
先輩は一通り話終わると私の目を見てそう言った。
「かもしれません・・・」
「お互いつらいわね~。頑張りましょ。さっそく連絡先教えて。」
私は先輩と連絡先を交換した。女性の先輩は宇田川緑という名前らしい。
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