あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
私は先輩に後ろから抱き着いた。
「なんだ?どうした?疲れたか?」
心配する先輩。でも私は力を緩めない。

喫茶店でランチしている時、先輩が遠くに感じた。

こうして今自分の手の中にいるのに。先輩を抱きしめているのに。

一度離れて感じた距離は、埋められない気がした。

先輩が体の向きを変えて抱きしめなおしてくれる。
「どうした。」
「好きです。」
「お前、会社で大胆だな。」
「好きです。」
「俺も好きだよ。だから帰ろ。あったかいうちで、新年迎えよう。このままだと車で年越しだぞ?」
「好きです。」
「俺も好きだ。愛してる。」
めんどくさい女だと思われてもいい。私は自分の中で膨らんでいる先輩の足かせなのではないかという考えに支配されそうな心をつなぎとめるために先輩のぬくもりを求めた。
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