あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「お前、いつからそんなストイックになったんだよ。」
「ダメなんです。もっと頑張らないと。」
「どうして?」
先輩の隣に並べるようになるために。頑張りたいんだとのど元まで言いかけた。でも言わなかったのは先輩を縛り付けたくはなかったからだ。
「頑張ります。」
それ以上私は何も言えなくてもう一度先輩の胸に自分の顔を埋めた。

「窒息すんだろ。」
と先輩が少し体を離そうとするのを、私は全力で拒否した。
「あんまりいじめんなよ。自分のこと。」
「・・・」
「俺がしんどいわ。お前ががんばりすぎると。」
「・・・」
「お前は頑張ってる。お前自身が認めないなら俺が何度でもいう。頑張りすぎたら俺が何度でも止める。お前自身の代わりに。俺が認める。俺が思い切り甘やかすからな。」
「・・・」
先輩の言葉がすべて明日からのエネルギーになればいいのにと思った。

愛するこの人のために。私のことを私以上に大切にしてくれるこの人のために。
私も変わりたい。変わらないとならない。
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