あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
会社の駐車場。先輩は私よりも先に会社の玄関に向かった。
その後ろ姿を見る。

もうこうして先輩の後ろ姿を見ることはなくなると思うと目にやきつけておきたいと思った。

背の高い先輩。その後ろ姿はいつもシャキッとしていて自信に満ちている。

スマートに専用のカードを使って手荷物の検査も受けてエレベーターに乗る。その姿もすべて私は目にやきつける。

営業Ⅱ課のフロアに入って久しぶりに先輩の名前の横の札が『出』になる。社員たちから「おかえり」「おはよう」と声がかかる先輩。颯爽と自分の机に向かって歩いていく。

「須藤さん」
入り口から先輩の後ろ姿を見ていると緑先輩に呼び止められた。
「久しぶりのペアね。」
「はい」
「頑張って。」
「ありがとうございます。」
いつの間にか私たちは同志になっていた。
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