あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
水族館は8時に閉館する。
私たちは閉館のアナウンスが鳴るまで何度も同じ水槽を観たり、時間差で行われるショーもほとんど見た。

「帰るか」
「うん」
先輩と手をつなぎ水族館を後にする。
「夕飯は外食しないか?食べさせたい店があるんだ。」
「うん。楽しみ。」
水族館から帰る寂しさに切なくなっていた気持ちが次の楽しみで何とか繋がれた。

「行こう」
「うん」
先輩が優しく笑って私の手をリードしてくれる。
「足、痛くないか?」
「大丈夫。スニーカーだったし。」
「そっか」
「うん・・」
「やっぱりいいな。敬語じゃないの。」
ハンドルを握りながら先輩がそう言って私をちらりと見た。
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