あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「ちょっと慣れてきた。」
私が返事を返すと「今頃かよ」と先輩は笑った。

「着いたぞ」
そう言って先輩が車をとめたのは小さな洋食店だった。
「ここのシェフの生パスタがうまいんだ。」
先輩が張り切って店内に入っていく後ろ姿に私はついて行った。
「お久しぶりです。」
店長らしきシェフと先輩は顔なじみらしくて話を始めた。
「今日は彼女を連れてきました。」
先輩の言葉にシェフが厨房から身を乗り出して私を見る。
「なんだ。かわいい子じゃないか。初めてだな。彼女連れてくるの。」
「はい」
先輩も笑いながら私を見た。
「心平の彼女さん、どうぞゆっくりしていってね。」
「はい。ありがとうございます。」
白髪頭の優しそうなシェフ。先輩が心を許して会話していることがすぐに伝わった。
私もあたたかな気持ちになり、シェフに挨拶をする。
シェフはお店の中でいい席に案内してくれた。
< 395 / 494 >

この作品をシェア

pagetop