あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
『12月25日。石崎課長から呼び出し。せっかく研究チームの推薦枠に入れて、審査用の書類も提出したのに営業の人員不足で課の移動はできないといわれる。夢破れる。無念。でも営業だって嫌いじゃない。むしろやりがいすら感じられてる。あと一年で後釜を育てるように言われた。あと一年。俺が営業でできることってなんだ。』

先輩が研究チームに行きたいだけではなく、営業に対してもそんな思いがあったのだと私ははじめて知った。

『2月10日。4月からの新入社員名簿を見せられる。その中から営業Ⅱ課に配属予定の新人を見せられて誰を後釜にするか聞かれる。その中に須藤がいた。迷わず須藤を選ぶ。懐かしい。』

私の名前が出てきたことがうれしい。

『いよいよ明日から新人が入る。どうやって教えればいい?どうやって伝えればいい?何から?ちゃんと育てたい。一年しかいられなくても、営業で俺が感じた人と人とのつながりとかやりがいを感じてもらえたらうれしい。』

自然と涙があふれる。先輩の初めて知る気持ちだった。
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