あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「先輩早いっすね」
「そう?あなたも覚えるわよすぐに」
私は薬品庫のどこに何があるのかを把握している。もうバーコードを読み取らなくても分かるようになってしまった。
次々に必要なものを田辺の持っているカゴに入れていく私。

こんなやり取りをしている時、今でも思い出す。初めて心平先輩とこの薬品庫に来た時のことを。

「時間におくれるわよ」
そう言って私はどんどんと準備をしていった。

田辺の運転で取引先へ向かう私。

「その髪、固めるか切るかしたら?」
「これっすか?ポリシーなんで」
「話し方。どうにかして。」
「気を付けます。あれっすね、須藤先輩きれいだから怒るとめちゃくちゃ怖いっすね。」
「話し方」
「すみません」
心平先輩が私を育ててくれていた時、私はどう思われていたのかと不安になることもある。
まだまだ先輩の知らないことを知れる。それだけで私は前に進めているような気がしていた。
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