あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
「須藤さん、いらっしゃい」
「こんにちわ。」
私の名前を呼んでくれる取引先の社員に声を掛けられると嬉しい。
この仕事にやりがいを感じることができたのは心平先輩が、私に営業は人と人のつながりが大切だと教えてくれたからだ。
「いやー。この前、久しぶりにゴルフに行ったら腰をやっちゃってな。あまり動けないんだよ。」
「大丈夫ですか?」
「おたくの湿布。よく効くなぁ。ずっとお世話になってるよ。」
「ありがとうございます。研究チームが開発した独自の成分を配合しているんです。そこに目を付けてくださるなんて、うれしいです。」
取引先の社長がほめてくれた湿布の成分は他社の製品には含まれていない。開発して実用化したのは心平先輩の研究チームだ。
こうして先輩の姿を見ることがなくてもつながっている。

先輩が開発に関わった商品を手にして私が運び、必要としている人につなぐ。

離れていても、別れてからも先輩の夢に関われていることが私の大きな喜びだった。
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