あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

『俺の営業外回りペアの須藤をどうかよろしくお願いします。頑張り屋で一生懸命で誰よりストイックな努力ができるやつです。けど油断すると自分の範囲を超えて頑張りすぎるところがあります。そんなときは机の上がかなり乱れて雪崩が起きそうになるんです。だから、須藤の机が乱れ始めたら、どうか須藤を助けてやってください。話を聞いてやってください。よろしくお願いします。』

そう言って自分の話の時よりも深々と頭を下げた心平の姿を今でも鮮明に思い出す。

「結婚して、何か変わりました？」
「え？」
大量の資料のホチキス止めをしながら手伝ってくれている社員は知佳に次々に質問をした。

知佳が結婚を報告した時に社員たちはかなり長い時間沈黙した。

信じられない・・・

そんな言葉が知佳の心に響いたことを思い出す。
「とくには・・・変わらないです・・・」
「嘘だー。それは嘘だな」
知佳は照れながら「変わりました。やっぱり、変わりました」と答えなおした。