ハッピーエンド
「オビ……」

何度も一緒に歌った。何度も「愛してる」と言い合った。何度もお互いの温もりに触れた。悲しみも、幸せも、全てを分かち合った。未来を歩んでいくことを望んだ。エリーにとって、最初で最後の人だ。


あなたの好きな色のドレスを着て
あなたの好きな紅茶を淹れて
あなたの好きなフレンチトースト
あなたの好きなピアノの音を聴いて
今、手に持っているのは
あなたの好きなマリーゴールドの花
花言葉は「生きる」
あなたに生きていてほしかった
あなたの好きな歌を歌って
あなたの好きなトルテを作って
あなたの好きな夕焼けを見るの
あなたを失ってから私の毎日は
そばにいないあなたのことばかり
自分の好きなものさえ忘れるほど
あなたで包まれているの


泣きながら歌い続けるエリーの耳に、誰かが近づく音が聞こえてくる。振り返ったエリーは、驚きで目を見開き、今起こっていることが夢なのかと思った。


それなら一緒に生きていこう
今まで離れていたぶんだけ
二人で歌って、トルテを食べて
憂いも喜びも
これからも分け合っていこう

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