ハッピーエンド
多くの人の歌声を聴くうちに、エリーも口ずさんでいた。


賑やかな街 私の好きな街
彼も愛していたこの街で
今日も歌が響く
音楽は人の心を救うの


道に並ぶパン屋や花屋、服屋に靴屋には朝からでも多くの人が訪れ、その賑やかさはまるでお祭りのようだ。街の人たちとともに、エリーは歌い続ける。


さあ、歌を歌おう
悲しみも苦しみもかき消せるような
陽気な楽しい歌を
いつまでも いつまでも
世界に届けるくらい
大きな声で


エリーは卵を買い、朝ご飯の続きを作っていく。そして出来上がった朝ご飯をテーブルに並べた時に「あ……」と呟いた。

「二人分……」

二人分の朝ご飯ができていた。一つはエリーの、もう一つはーーー。

「あなたに、逢いたい」

そう呟き、エリーの瞳から涙がこぼれ落ちた。



エリーは歌姫として、舞台で歌ったりすることが多い。しかし今日は珍しく仕事のない日だ。エリーは朝ご飯を食べ、街を歩く。

美しいピアノの音色に、エリーは足を止める。カフェに置かれているピアノを青年が弾いていた。その音色にカフェにいた人々が聞き惚れている。
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