君がいれば、楽園
十二月二十四日 午後十時の災難
タクシーで乗りつけた夜間の救急当番病院。
処置室で十五分ほど待たされて、やっと現れたのは若いイケメンの医者だった。
「まず、傷を診せてくださいねー」
ティッシュとセロハンテープを剥がされ、無防備になった薬指を息がかかるくらいの間近で覗き込まれる。
「ふうむ……」
普段なら逃げ出す距離感だが、いまはそんな余裕などない。
「せ、せんせい……ど、どうでしょう? このままでも、くっつきますか?」
自分でもわかるくらいに青ざめ、恐る恐る尋ねる。
「いえ、だめですね」
あっさり結論を申し渡した医者はにっこり笑った。
「これ、縫わないとだめなヤツです」
バッサリ言われ、血の気が引いた。
「ぬ、縫うっ……!」
「部分麻酔で、五分もあれば終わりますから! お薬のアレルギーとかあります?」
「い、いえ……」
「じゃ、とっとと縫っちゃいましょう!」
看護婦に指示を出し、準備を整えた医者が何をするのか凝視する勇気はなかった。
目をつぶり「早く終わって!」と祈る。
「それで……どうして、こんな怪我をされたんです? こんな時間に?」
緊張を解そうとしているのか。やけにのんびりした口調で問いかけられた。
処置室で十五分ほど待たされて、やっと現れたのは若いイケメンの医者だった。
「まず、傷を診せてくださいねー」
ティッシュとセロハンテープを剥がされ、無防備になった薬指を息がかかるくらいの間近で覗き込まれる。
「ふうむ……」
普段なら逃げ出す距離感だが、いまはそんな余裕などない。
「せ、せんせい……ど、どうでしょう? このままでも、くっつきますか?」
自分でもわかるくらいに青ざめ、恐る恐る尋ねる。
「いえ、だめですね」
あっさり結論を申し渡した医者はにっこり笑った。
「これ、縫わないとだめなヤツです」
バッサリ言われ、血の気が引いた。
「ぬ、縫うっ……!」
「部分麻酔で、五分もあれば終わりますから! お薬のアレルギーとかあります?」
「い、いえ……」
「じゃ、とっとと縫っちゃいましょう!」
看護婦に指示を出し、準備を整えた医者が何をするのか凝視する勇気はなかった。
目をつぶり「早く終わって!」と祈る。
「それで……どうして、こんな怪我をされたんです? こんな時間に?」
緊張を解そうとしているのか。やけにのんびりした口調で問いかけられた。