君がいれば、楽園
「まだわかんないや。仕事次第かな。今日、転んだ拍子にスマホが壊れちゃって、しばらく連絡つかないって言っておこうと思っただけ」
『転んだ? 怪我は?』
「足を捻って……」
ちょうどその時、救急車のサイレンの音が聞こえた。
『……あんた、まさか病院にいるの?』
勘のいい母に、舌打ちしたくなった。
「え? あ、ああ、うん。でも、足のせいじゃなくて、かぼちゃを切ろうと思ったら、自分の指切っちゃって」
できるだけ、明るく、何でもないことのように言ってみたが、怒られた。
『あんた……何やってるのっっ!』
慌てて「切っただけで詰めてはいない」とブラックジョークをかましてみたが、耳がキーンとしそうなほどの金切り声でお説教される。
右から左へと聞き流し、気の抜けた生返事を繰り返していたところへ、ガラス越しにタクシーが到着するのが見えた。
今度からは「かぼちゃ」ではなく、「かぼちゃの煮つけ」を送ってもらうということで話はまとまり、受話器を置いた。
『転んだ? 怪我は?』
「足を捻って……」
ちょうどその時、救急車のサイレンの音が聞こえた。
『……あんた、まさか病院にいるの?』
勘のいい母に、舌打ちしたくなった。
「え? あ、ああ、うん。でも、足のせいじゃなくて、かぼちゃを切ろうと思ったら、自分の指切っちゃって」
できるだけ、明るく、何でもないことのように言ってみたが、怒られた。
『あんた……何やってるのっっ!』
慌てて「切っただけで詰めてはいない」とブラックジョークをかましてみたが、耳がキーンとしそうなほどの金切り声でお説教される。
右から左へと聞き流し、気の抜けた生返事を繰り返していたところへ、ガラス越しにタクシーが到着するのが見えた。
今度からは「かぼちゃ」ではなく、「かぼちゃの煮つけ」を送ってもらうということで話はまとまり、受話器を置いた。