君がいれば、楽園
十二月二十四日 午後十一時三十分の告白
「え」
「はあっ!?」
オッサン紳士の控えめな驚きの声を弟の声がかき消した。
「それ、本当? ちょっと詳しく聞かせて」
弟は、磨いていたグラスを棚に戻し、再び炭酸水にしか思えないハイボールを差し出す。
受け取って、いつの間にか空いていたグラスを代わりに差し出す。
「街で美女と歩いている冬麻を見かけたの。ものすごく……仲が良さそうに肩組んでた」
「は? 肩組んで……? 腕じゃなく?」
「うん。でも、じゃれあってるみたいだった」
「でも、それだけでは……」
浮気と断定できない、と言いかけたオッサン紳士に「見たんです!」と訴える。
「浮気相手とのやり取りを見つけたんだ?」
弟は、ぴたりと言い当てた。
「す、鋭いね」
「それくらい、予想つくのが普通だっての」
頷き合う男二人。いつの間にかオッサン紳士はわたしの横の席に移動していた。
「で、その具体的な証拠とは何だったんですか?」
「ポップアップの……メッセージで……あ、あんなのを見たら、き、今日の約束を前の日にずらしてくれって言い出したのも、本当は仕事のためじゃないんじゃないかって……」
ボロボロと泣きながら訴えるわたしに、弟はぼそっと呟いた。
「意外に乙女だったんだな。姉ちゃん」
「はあっ!?」
オッサン紳士の控えめな驚きの声を弟の声がかき消した。
「それ、本当? ちょっと詳しく聞かせて」
弟は、磨いていたグラスを棚に戻し、再び炭酸水にしか思えないハイボールを差し出す。
受け取って、いつの間にか空いていたグラスを代わりに差し出す。
「街で美女と歩いている冬麻を見かけたの。ものすごく……仲が良さそうに肩組んでた」
「は? 肩組んで……? 腕じゃなく?」
「うん。でも、じゃれあってるみたいだった」
「でも、それだけでは……」
浮気と断定できない、と言いかけたオッサン紳士に「見たんです!」と訴える。
「浮気相手とのやり取りを見つけたんだ?」
弟は、ぴたりと言い当てた。
「す、鋭いね」
「それくらい、予想つくのが普通だっての」
頷き合う男二人。いつの間にかオッサン紳士はわたしの横の席に移動していた。
「で、その具体的な証拠とは何だったんですか?」
「ポップアップの……メッセージで……あ、あんなのを見たら、き、今日の約束を前の日にずらしてくれって言い出したのも、本当は仕事のためじゃないんじゃないかって……」
ボロボロと泣きながら訴えるわたしに、弟はぼそっと呟いた。
「意外に乙女だったんだな。姉ちゃん」