君がいれば、楽園
「うーわー、身内の暴露話って聞きたくないー。でも、夫婦ってそっちの相性も大事だからね。で、なに? もしかして……ものすっご下手なの?」

 嫌だと言いながらも、聞く気満々だ。
 傍らのオッサン紳士は、固まっている。

 さすがに、見ず知らずの人の前でそんな話はできないと思って躊躇っていたら、弟がオッサン紳士に指図した。

「ちょっと耳塞いでてもらえます?」

 オッサン紳士が、グラスを握りしめていた手を放すのを見て、ふと違和感を覚えた。

 何が、とは言えないが、何かがひっかかる。

「ほら、さっさと話して。姉ちゃん」

 弟に急かされて、違和感を追究できないままに口を開く。

「冬麻のエッチが……ものすごく……」

「ものすごく?」

 ぐいっと身を乗り出す弟に気圧され、とうとう打ち明けた。

「……気持ちいい」

 弟はポカンと口を開け、なぜかわたしの隣のオッサン紳士を見た。
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