君がいれば、楽園
「気持ちいいののどこが不満なわけ? 意味わかんないんだけど」

「毎回、気持ち良すぎてどうにかなっちゃうんじゃないかと思うのっ!」

「じゃあ、どうにかなれば?」

 冷たく言い返す弟に、どれほどイヤなのか訴える。

「なんて言うか、実際にするまで、AVみたいに『あんあん』喘ぐとか、痙攣するとかって演技だと思ってたんだけど、ちがったのっ! むしろ、それよりもすごいっていうか……。でも、毎回最後までわたしが意識を保っていられないから、冬麻が気持ちよくなっているかどうか確かめられない……」

「いや、気持ちよくなきゃ、そこまヤらないでしょ」

「でも、わ、わたしだって……アレコレしてあげたい」

「無意識にしてんじゃないの?」

「わたしが何回ヤッてもまたしたいって思うってことは、冬麻は物足りないんじゃないかと思って……よ、夜だけじゃなくて朝も、し、しようって言うし……。でも、もし、本当はうんざりしていて、演技をしているんだとしたら……わ、わたしが淫乱なだけなのかって……悩む」

 やっぱり、弟に打ち明けるようなことではないのでは、と酔いの回った頭で思う。
 両手で顔を覆いかけ、落としかけた指に気づいて手を止めた。

「ところで、いったいどうやってAVなんて手に入れたわけ? 姉ちゃん」
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