君がいれば、楽園

十二月二十四日 午後三時の出会い

 わたしと冬麻は同郷で、地元の同じ大学に通っていた。

 ただし、一年生と四年生。わたしは部活にもサークルにも入っておらず、学部もちがう。彼との接点はまるでなかった。

 そんなわたしたちが初めて言葉を交わしたのは、地元のホームセンターのガーデニングコーナー。家をクリスマス仕様にしたいという母親に頼まれて、ポインセチアを買いに行ったのが、最初の出会いだった。

 十二月二十四日、午後三時。

 ガーデニングコーナーにいたのは、アルバイト店員――冬麻だけだった。

 見知らぬ人が苦手なわたしには、同じ年頃の――しかもカッコイイ部類に入る冬麻に話しかけるのは、難易度が高い。

 回れ右をして帰りたかったが、ほかに「ポインセチア」を売っている場所を知らなかった。

 何より、離れて暮らす息子のために、『家族で過ごすクリスマス』を演出しようと張り切る母をがっかりさせたくなかった。
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