君はアイドル
「鈴木先輩、やっぱりちょっと僕浮いちゃいませんか…?アイドルのことなんにも知らないんですけど…。」
「心配しないしない。田中が思ってるほどの気持ち悪さとかはないって。気さくで面白くて楽しい人がいっぱいだよ。」
「嫌でも今日…しおりちゃん…?のお誕生日なんですよね…。そんなお祝いの場に知らない人呼ばれて嫌な気持ちになりませんか…?」
「アイドルからしてみれば、自分の生誕祭に、いつも応援してくれてる人がきてくれるのはもちろん、初めての人も含め沢山の人が来てくれることが嬉しいんだって!!
ほら、今日のツイートにも書いてるだろ?」
「あ…ほんとだ。」
僕は正直行きたくなかった。
いくら鈴木先輩の奢りだからといって、趣味でもなんでもない場所に2時間以上の拘束が嫌に感じていたからだ。
それに加え人が密集するという。
やはり憂鬱だ。
「大丈夫!ライブをみたら絶対変わるよ!」
鈴木先輩が必死にMilkywayのこと、ライブのこと沢山話してくれるがいまいちピンと来ない。
今日までにどれだけのカンパを集めただとか、ケーキはどうだとか、スタンドフラワーがどうだとか、話し始めたら止まらない。
「とりあえず、音楽を聞いてステージで頑張るあの子たちを見たらきっと心にくるものがあるはずだって!」
「鈴木先輩…本当に好きなんですね。しおりちゃんが。今日もなんかやけに黄色い格好だし。」
「いや、はは、そりゃなあ?世界一幸せな女の子にしたいしな。ははははは!」
よく分からないが生誕Tシャツというものを着せられ僕は鈴木先輩と一緒にライブハウスに向かった。