【短】チョコプリンセス〜甘い甘い誘惑に勝てはしない〜
「……今週だけで何回だっけ?」
「11回です!」
もううんざりだと言わんばかりに、肩下で綺麗に整えられた黒髪をくしゃくしゃと掻く私。
楽斗いわく、そんな姿でさえ絵になってしまうのだから、宿命とするしかないんじゃないか…と言うけれど、楽斗は敢えてそこに触れずに、読んでいた本を机の上に置いて、にこにこと笑顔で私の方を向く。
そして、爽やかに爆弾発言。
「…愛咲ちゃん可愛いからなぁ」
「っ!ななななな?!なんでよ?!」
「…?本当の事でしょう?」
これだけ告白されているのだから、今更だと言いたげな楽斗に向かって、私は口を尖らす。
「楽斗だってモテモテのくせに…」
そう、聞こえるような聞こえないような声でそう呟くと、足を組み替えてもう一度髪を掻き上げた。