【短】チョコプリンセス〜甘い甘い誘惑に勝てはしない〜
「……で?楽斗は?」
「俺?……んー………」
「13回、でしょ?」
いーち、にーい、と指折り数えるフリをすると、ふぅと楽斗は溜息を吐いた。
「……そう?……そんなになかったと思うけどなぁ?」
「はぁ?ありました!私の目の前でされてたじゃない!」
眉間にシワを寄せて、楽斗の机をとんとんとん、と爪で引っ掻くように小さく叩くと、
「愛咲ちゃん、爪傷むよ?」
と、大きな手で包み込まれる。
それに不覚にも顔を赤くさせてしまうのは、私が楽斗を好きなせい。
でも…。
こんなにもお似合いだと賞される二人なのに、楽斗と私は残念なことにカレカノな関係ではない。
傍から見たら、誰が見てもカレカノにしか見えないらしいのに…。
だから、それを知っている男子も女子も、諦めることなく毎日のように代わる代わる告白をしてくる…。
それはそれは、本当にうんざりするくらい。
大体、なんでこんなにも近くにいるのに、分からないかな。
近くにい過ぎて分からないのかな…?
伝えたいのに、喉に引っかかった言葉がもどかしくて歯がゆい。