【短】チョコプリンセス〜甘い甘い誘惑に勝てはしない〜
「水谷さん…どうか、オレの彼女になって下さいっ!」
「ごめんなさい!無理です!」
べこんっ
ヘッドバンキングする気か?!というくらい頭を下げて謝ると、その男子は少しの間を空けて、こう言って来た。
「水谷さん、小泉のこと…好き?」
「え…」
「やっぱり、ね」
「な、なんで?」
「分かるよ…だってオレ、ずっと水谷さんのこと見てたから…」
熱くなってしまう頬を隠すようにして、俯くと彼が一歩近寄ってくる気配があった。
「な、なに?」
「オレは他のヤツと違って絶対に諦めないから」
それだけ言うと、彼はそこから立ち去ってしまった。
「もー…なんなのよ……」
自分の気持ちも持て余してるこの状況下で、他の誰かの気持ちなんて応えられないし、……私はいつでも楽斗のことだけ考えていたい。
なのに…それは許されないことなんだろうか?
「楽斗、のばか…」
私は溜息混じりにそう独りごちた。