【女の事件】黒煙のレクイエム
第2話
時は2008年6月8日のことであった。

場所は、青森市中心部にある中学校のグラウンドにて…

この日は、朝から雲ひとつない快晴のもとで市民運動会が開催されていた。

アタシが在籍をしている中学校の生徒たち全員が運動会の運営のお手伝いをしていた。

事件は、12時半を過ぎた辺りに発生した。

あと15分でお昼休みに入る時間になった時であった。

東京秋葉原の歩行者天国で17人が死傷した通り魔事件が発生した。

通り魔事件を起こした容疑者の男は、東海地方の工場の従業員の男であった。

この時であったが、学校の先生がアタシの元にやって来て『秋葉原の歩行者天国で17人が死傷した通り魔事件が発生したから家に帰りなさい!!』と突き放すような声で家に帰れと言うた。

通り魔事件とアタシがどんな関係があるのよ…

アタシは、わけが分からなくなっていたので大混乱を起こしていた。

周囲のコたちは、アタシに『こずえ…家に帰った方がいいのじゃないの?もしかしたらあんたの身内の人が被害に遭った可能性があるかもしれないから先生が帰りなさいと言っているのに…帰らなくてもいいの?』と言うていた。

この時アタシは、運動会を断念して家に帰ることにした。

アタシが家に帰ってきた時であった。

玄関のカギがかかっていたので、アタシはしめだされたと思ってバッグの中からケータイを取り出して父に電話をしようとしていた。

この時、ガラケーのディスプレイに父のケータイの番号が表示されていたので急いで電話に出た。

「もしもし…」
「こずえ…父さんだ…おばさんの長男が警視庁に逮捕された…秋葉原の歩行者天国で17人が死傷した通り魔事件を起こしてケーサツに逮捕された…おばさんとひどい大ゲンカになる可能性がある…場合によっては殺し合いに発展するかもしれないから覚悟をしておきなさい…」

(ガチャッ!!)

ウソ…

ウソでしょ…

秋葉原の歩行者天国で17人が死傷した通り魔事件の容疑者の男が…

おばさんの子って…

お父さん…

アタシまた…

施設に行くことになるの…

もうイヤ…

もうたくさん…

アタシが恐れていた通りに、父はおばさんカタで大ゲンカを起こしていた。

父は、通り魔事件の容疑者の男が地元の進学校の授業料や遠方の4年制私立大学の入学金と授業料や小さいときに通わせていた塾の費用を父の家の大金が使われていたことに腹を立てていた。

激怒した父は、おばさんをグーで殴った上におばさんの夫や次男さんにまで物を投げつけて家の中がメチャメチャになるまで暴れまわった。

そしてその日の夜のことであった。

アタシは、ダイニングキッチンで父が義母に対して大声をはりあげていたのを聞いていた。

父は、この時ひどくお酒に酔っていたのできわめて危険な状態におちいっていた。

「あなたお願い…どうして夜の遅い時間に大声をはりあげて怒鳴っているのよ…アタシはね…ものすごくしんどいのよ…一体何があったと言うわけなのよ!?秋葉原の歩行者天国で通り魔事件が発生したこととアタシがどういう関係があると言うわけなのよ…」
「関係があるから怒っているのだ!!オドレも悪いのだ!!(通り魔事件の容疑者の男)の弟の高校の授業料を援助をした…しかも、この家の貯蓄にしていた預金口座のおカネを勝手に使ったのだ!!」
「勝手に使ったのは悪かったわよ…義姉(ねえ)さんの頼みを断れなかったのよ!!」
「だからといって、ドロボーしてもいいと思っているのか!?オドレは自分が悪いことをしたと思っていないのか!?」
「思っているわよ…だけど…義姉さんが強く出てきたから…」

(バシャッ!!)

父は、義母の顔に冷酒を思い切りかけたので義母が怒っていた。

「何をするのよ!?」
「それはオレのセリフだ!!オドレは自分が悪いことをしたと言う意識がないのか!?」

父は、義母に恐ろしい目付きで義母に詰め寄ったあと、怒鳴り声をあげていた。

「何やオドレは…オドレのその目付きは何や!?テイシュに対してたてつく気なのか!?」
「たてついてなんかいないわよ!!お願いだからもう一度おだやかに…」
「だまれ!!」

(バシッ!!バシッ!!バシッ!!)

父は、義母の顔を平手打ちで力を込めてたたいた。

「何だと!!もういっぺん言ってみろ!!おだやかに話し合って何ができるのだ!?(通り魔事件の容疑者の母親)はな!!おだやかに話し合いをすることができないのだよ!!話し合いをすることができないのに、どうやって話し合えと言うのだ!?」
「だからって…大ゲンカを起こしてしまったら話し合い…」
「だまれだまれ!!」

父はなおも怒り狂っていたので、義母をつき倒して、その上に平手打ちで繰り返して義母の顔を叩き続けていた。

義母は、父に顔を思い切り叩かれて200針をぬう大ケガを負った。

アタシも、父の怒鳴り声を思い切り浴びたので心に深い傷を負った。

また父は、お嫁さんが気に入らないことを理由に離婚をしたので、アタシは再び施設に送られてしまった。

アタシと父の間の親子関係は、ますます険悪になっていた。
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