【女の事件】黒煙のレクイエム
第24話
ふさえが実家に出戻りをしたので居場所をなくしたしゅうさくのお嫁さんは、泣きながら川西市内の国道をとぼとぼと歩いていた。
そんな時であったが、派手なシャツを着た男ふたりが乗っているオープンカーが止まった。
男ふたりは、しゅうさくのお嫁さんに『どこかへ遊びに行かない?』と声をかけてきた。
しゅうさくのお嫁さんは、気持ちがどーでもよしになっていたので、男の誘いにのってオープンカーに乗りこんだ。
しゅうさくのお嫁さんがオープンカーに乗り込んで行く様子を郊外のショッピングセンターからの帰宅途中の近所の主婦が目撃をしていたので、すぐにごんぞうの家に伝わった。
ごんぞうの両親は、しゅうさくのお嫁さんが見知らぬ男が運転する車に乗り込んで行ったことを聞いたので、頭がサクラン状態におちいった。
ごんぞうの父親は、ふさえに対して『ふさえ!!この家から出て行け!!』と怒鳴り付けて子供ふたりと共に追い出してした。
ふさえは、子供ふたりを連れて家を飛び出した後、行方不明になってしまった。
8月31日の深夜0時半過ぎのことであった。
ふさえの子供二人が、阪急電車の川西能勢口駅の前の広場に置き去りにされているところを交番の警官に発見された後に川西市内の警察署に保護された。
ごんぞうの両親は『ふさえは家から追い出したのでカンケーない!!』と言うて、警察署からの対応に対して激しく抵抗をしていた。
ふさえの子供二人は、児童相談所に移された後、児童養護施設へ送られてしまうことが決まった。
その頃であった。
アタシはこの最近、体がダルい日が数日間続いていたので、苦しんでいた。
明日から9月だと言うのに、最高気温が39・8度で不快指数もめちゃめちゃ高い日であった。
アタシは、コナミスポーツクラブのバイトを午前中だけにして午後からはゆっくりとからだを休ませることにしていた。
かけもちでバイトをしていたファミマのバイトは、気持ちが乗らんけんやめた。
バイトからの帰り道に、アタシは京都の舞妓はんをしてはった時に仲良しつばきちゃんと再会した。
つばきちゃんは、舞妓はんをやめた後、大阪曽根崎新地のガールズバーで働いていた。
久しぶりに再会をしたので、アタシとつばきちゃんは阪神電車の尼ヶ崎駅前の商店街にある和菓子屋さんへかき氷を食べに行った。
(カシャカシャカシャ…)
かき氷を作る手回しの機械でくだかれた氷がガラスの容器に盛り付けられた後、店のひとがお客さまからのオーダーのシロップをつけて、ウェイトレスさんが指定された席に運んでいた。
アタシとつばきちゃんは、あずき金時を食べながら話をしていた。
「こずえちゃん…この頃からだの調子がくるっているので気持ちが乗らないし…バイトもうまいこと行ってへんみたいね。」
「うん。」
「どないしたんで…何ぞつらいことでもあったん(何かつらいことでもあったなかな)。」
アタシは、ひと間隔を空けてからつばきちゃんにこう言うた。
「つばきちゃん…アタシね…9月いっぱいでコナミのスポーツクラブのバイトをやめて、どこか遠くの街へ行くことにしたから…一定の金額がたまったら出ようと思っていたけど…待つことがでけんのよ…それよりもアタシ…からだがダルくて気持ちがものすごくしんどいねん…アタシ、このさいだから病院に入院しようかと思ってはるのよ。」
「病院に入院したいのね。」
「うん…4年前の震災の時に受けたトラウマが原因で、気持ちがヒヘイしてはるけん…そんな中では働くことはでけんのよ…結婚をしても長続きせえへんし、高校に行きたくても仕事と勉強を両立することなんぞでけん…アタシ、考えただけでも気持ちが沈んでしまうわよ…サイアクだわ…」
「こずえちゃん。」
つばきちゃんは、かき氷をひとくち食べてからアタシにこう言うた。
「こずえちゃん…アタシね…大阪のガールズバーをやめて、くらがえをすることにしたけん。」
「くらがえをするって…」
「今よりも待遇がいいお店が見つかったけん、新しいお店へ転向することにしたけん。」
「新しいお店に転向するって…どこへ行くのよ?」
「んーとねぇ…名古屋…名古屋に新規オープン予定のナイトクラブがでけたけん、そこへ転向することにしたけん。」
「名古屋…」
「こずえちゃん、一緒に名古屋に行こや。」
「そうねぇ…ねえ、その店はいつ頃オープンするのかなぁ?」
「10月よ。」
「10月か。」
アタシは、つばきちゃんから10月にオープン予定の名古屋のナイトクラブの話を聞いたので、名古屋に行こうかと思っていた。
しかし、アタシのからだがダルい上に決断を下す勇気がなかったけん、気持ちが中途半端になっていた。
どうしようかな…
名古屋へ行こうかな…
それとも…
からだを休めようかな…
アタシの気持ちは、今も迷い続けていた。
アタシは、つばきちゃんと別れてからしばらくの間尼ヶ崎市内をブラブラと歩いた後、阪神大物駅の近くにあるマンスリーアパートへ夕方6時過ぎに帰った。
アタシがアパートに帰って時であった。
アパートの住人の女性数人がごみ置き場にボロボロに傷ついて倒れているホイト(こじき・浮浪者)がいるので怖いと言うて話し合っていたのを聞いた。
アタシは奥さまたちの話を聞いて、もしかしたらと思ってゴミ置き場に近づいてみた。
その時であった。
(ニャーオー…ドサドサドサドサ…)
ゴミ置き場にいたのら猫が、アタシが近づいてきたのでビックリして山積みされているゴミ袋から飛び降りた。
その際に、山積みされていたゴミ袋がドサドサと音をたてて崩れた。
その時であった。
山積みになっていたゴミ袋の中に、マタニティードレス姿でボロボロに傷ついて倒れている女性を発見した。
ボロボロに傷ついて倒れていた女性は、こともあろうに家出をして行方不明になっていたしゅうさくのお嫁さんだった。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
アタシは、強烈な悲鳴をあげた。
事件発生から一時間後に、兵庫県警の捜査官たちが現場に急行した。
到着後、現場検証が行われていた。
事件現場のゴミ置き場で発見されたしゅうさくのお嫁さんは、川西市内で行方不明になった後、男たちに連れ去られて別の場所でボロボロに傷つくまでシツヨウにレイプされて殺された。
そして、アタシが暮らしているアパートのゴミ置き場にすてられていた。
しゅうさくのお嫁さんをシツヨウにレイプして死なせた容疑者の男のグループの身元は容疑者に直接結び付く証拠が全くなかったので、捜査は長期化するようだ。
しゅうさくのお嫁さんがボロボロに傷ついて亡くなった事件を境にして、ごんぞうの家では不幸な出来事ばかりが続いていたのであった。
そんな時であったが、派手なシャツを着た男ふたりが乗っているオープンカーが止まった。
男ふたりは、しゅうさくのお嫁さんに『どこかへ遊びに行かない?』と声をかけてきた。
しゅうさくのお嫁さんは、気持ちがどーでもよしになっていたので、男の誘いにのってオープンカーに乗りこんだ。
しゅうさくのお嫁さんがオープンカーに乗り込んで行く様子を郊外のショッピングセンターからの帰宅途中の近所の主婦が目撃をしていたので、すぐにごんぞうの家に伝わった。
ごんぞうの両親は、しゅうさくのお嫁さんが見知らぬ男が運転する車に乗り込んで行ったことを聞いたので、頭がサクラン状態におちいった。
ごんぞうの父親は、ふさえに対して『ふさえ!!この家から出て行け!!』と怒鳴り付けて子供ふたりと共に追い出してした。
ふさえは、子供ふたりを連れて家を飛び出した後、行方不明になってしまった。
8月31日の深夜0時半過ぎのことであった。
ふさえの子供二人が、阪急電車の川西能勢口駅の前の広場に置き去りにされているところを交番の警官に発見された後に川西市内の警察署に保護された。
ごんぞうの両親は『ふさえは家から追い出したのでカンケーない!!』と言うて、警察署からの対応に対して激しく抵抗をしていた。
ふさえの子供二人は、児童相談所に移された後、児童養護施設へ送られてしまうことが決まった。
その頃であった。
アタシはこの最近、体がダルい日が数日間続いていたので、苦しんでいた。
明日から9月だと言うのに、最高気温が39・8度で不快指数もめちゃめちゃ高い日であった。
アタシは、コナミスポーツクラブのバイトを午前中だけにして午後からはゆっくりとからだを休ませることにしていた。
かけもちでバイトをしていたファミマのバイトは、気持ちが乗らんけんやめた。
バイトからの帰り道に、アタシは京都の舞妓はんをしてはった時に仲良しつばきちゃんと再会した。
つばきちゃんは、舞妓はんをやめた後、大阪曽根崎新地のガールズバーで働いていた。
久しぶりに再会をしたので、アタシとつばきちゃんは阪神電車の尼ヶ崎駅前の商店街にある和菓子屋さんへかき氷を食べに行った。
(カシャカシャカシャ…)
かき氷を作る手回しの機械でくだかれた氷がガラスの容器に盛り付けられた後、店のひとがお客さまからのオーダーのシロップをつけて、ウェイトレスさんが指定された席に運んでいた。
アタシとつばきちゃんは、あずき金時を食べながら話をしていた。
「こずえちゃん…この頃からだの調子がくるっているので気持ちが乗らないし…バイトもうまいこと行ってへんみたいね。」
「うん。」
「どないしたんで…何ぞつらいことでもあったん(何かつらいことでもあったなかな)。」
アタシは、ひと間隔を空けてからつばきちゃんにこう言うた。
「つばきちゃん…アタシね…9月いっぱいでコナミのスポーツクラブのバイトをやめて、どこか遠くの街へ行くことにしたから…一定の金額がたまったら出ようと思っていたけど…待つことがでけんのよ…それよりもアタシ…からだがダルくて気持ちがものすごくしんどいねん…アタシ、このさいだから病院に入院しようかと思ってはるのよ。」
「病院に入院したいのね。」
「うん…4年前の震災の時に受けたトラウマが原因で、気持ちがヒヘイしてはるけん…そんな中では働くことはでけんのよ…結婚をしても長続きせえへんし、高校に行きたくても仕事と勉強を両立することなんぞでけん…アタシ、考えただけでも気持ちが沈んでしまうわよ…サイアクだわ…」
「こずえちゃん。」
つばきちゃんは、かき氷をひとくち食べてからアタシにこう言うた。
「こずえちゃん…アタシね…大阪のガールズバーをやめて、くらがえをすることにしたけん。」
「くらがえをするって…」
「今よりも待遇がいいお店が見つかったけん、新しいお店へ転向することにしたけん。」
「新しいお店に転向するって…どこへ行くのよ?」
「んーとねぇ…名古屋…名古屋に新規オープン予定のナイトクラブがでけたけん、そこへ転向することにしたけん。」
「名古屋…」
「こずえちゃん、一緒に名古屋に行こや。」
「そうねぇ…ねえ、その店はいつ頃オープンするのかなぁ?」
「10月よ。」
「10月か。」
アタシは、つばきちゃんから10月にオープン予定の名古屋のナイトクラブの話を聞いたので、名古屋に行こうかと思っていた。
しかし、アタシのからだがダルい上に決断を下す勇気がなかったけん、気持ちが中途半端になっていた。
どうしようかな…
名古屋へ行こうかな…
それとも…
からだを休めようかな…
アタシの気持ちは、今も迷い続けていた。
アタシは、つばきちゃんと別れてからしばらくの間尼ヶ崎市内をブラブラと歩いた後、阪神大物駅の近くにあるマンスリーアパートへ夕方6時過ぎに帰った。
アタシがアパートに帰って時であった。
アパートの住人の女性数人がごみ置き場にボロボロに傷ついて倒れているホイト(こじき・浮浪者)がいるので怖いと言うて話し合っていたのを聞いた。
アタシは奥さまたちの話を聞いて、もしかしたらと思ってゴミ置き場に近づいてみた。
その時であった。
(ニャーオー…ドサドサドサドサ…)
ゴミ置き場にいたのら猫が、アタシが近づいてきたのでビックリして山積みされているゴミ袋から飛び降りた。
その際に、山積みされていたゴミ袋がドサドサと音をたてて崩れた。
その時であった。
山積みになっていたゴミ袋の中に、マタニティードレス姿でボロボロに傷ついて倒れている女性を発見した。
ボロボロに傷ついて倒れていた女性は、こともあろうに家出をして行方不明になっていたしゅうさくのお嫁さんだった。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
アタシは、強烈な悲鳴をあげた。
事件発生から一時間後に、兵庫県警の捜査官たちが現場に急行した。
到着後、現場検証が行われていた。
事件現場のゴミ置き場で発見されたしゅうさくのお嫁さんは、川西市内で行方不明になった後、男たちに連れ去られて別の場所でボロボロに傷つくまでシツヨウにレイプされて殺された。
そして、アタシが暮らしているアパートのゴミ置き場にすてられていた。
しゅうさくのお嫁さんをシツヨウにレイプして死なせた容疑者の男のグループの身元は容疑者に直接結び付く証拠が全くなかったので、捜査は長期化するようだ。
しゅうさくのお嫁さんがボロボロに傷ついて亡くなった事件を境にして、ごんぞうの家では不幸な出来事ばかりが続いていたのであった。