こっちじゃよくあることです。
夜半の自社ビルのオフィスはちょっぴり怖い…。暗い中、部署の入口のドア付近の書類棚の壁との隙間に魔法陣を描いたコピー用紙を差し入れた。
するとコピー用紙が輝いた。これで月曜日にこの部署に立ち入った人の記憶から、私という存在が消えるはずだ。
「ふぅ…。」
立ち上がって無人のオフィスを見回した。
社会人としてまだ二年目だったけど、ここの世界で働いているという実感を頂けた。
「ありがとうございましたっ!」
目から涙が溢れる。自分で痕跡を消していると段々とこの世界から切り離されているようで寂しくなる。
月曜日から私は無職だ。厳密に言うと、戸籍が無い。
私は転移魔法で部屋に戻ると、布団に入った。とても眠れる状態では無かったけど目を瞑った。
土曜日は古着買取や質屋に出かけて換金出来る物は全部現金化にしてきた。ゴミも全てマンション内のゴミ捨て場に置いた。この一週間、出せるゴミは全部出してきたので部屋は空っぽだ。
そして月曜日
朝一で銀行に押しかけると口座を片っ端から解約していった。ぶっちゃけ、無国籍の私だが、以前発行して頂いた保険証と運転免許証がある。まだ窓口で出しても疑われない。
全ての口座から出したお金を銀行の袋に入れ、急いで実家に向かう。ここでも転移魔法を使った。
月曜日なので共働きの両親は不在だ。
玄関で靴を脱ぐと、足早にキッチンの隅に置いてあるチェストに向かう。このチェストに銀行関係の書類を置いているのは知っている。
私は二段目の引き出しを開けて普段両親の通帳を入れているお菓子箱の中の底の方に下ろしてきた全額が入った封筒を数束隠し入れた。
「ちょっと怪しいけど、この中に入れていたらそのうち使ってくれるはず…。」
私の働いてから貯めていた全財産だ。よく考えれば生命保険も解約してお金を受け取っておけばよかった…。勿体ないことをした。
ゆっくりとしていられない。
するとコピー用紙が輝いた。これで月曜日にこの部署に立ち入った人の記憶から、私という存在が消えるはずだ。
「ふぅ…。」
立ち上がって無人のオフィスを見回した。
社会人としてまだ二年目だったけど、ここの世界で働いているという実感を頂けた。
「ありがとうございましたっ!」
目から涙が溢れる。自分で痕跡を消していると段々とこの世界から切り離されているようで寂しくなる。
月曜日から私は無職だ。厳密に言うと、戸籍が無い。
私は転移魔法で部屋に戻ると、布団に入った。とても眠れる状態では無かったけど目を瞑った。
土曜日は古着買取や質屋に出かけて換金出来る物は全部現金化にしてきた。ゴミも全てマンション内のゴミ捨て場に置いた。この一週間、出せるゴミは全部出してきたので部屋は空っぽだ。
そして月曜日
朝一で銀行に押しかけると口座を片っ端から解約していった。ぶっちゃけ、無国籍の私だが、以前発行して頂いた保険証と運転免許証がある。まだ窓口で出しても疑われない。
全ての口座から出したお金を銀行の袋に入れ、急いで実家に向かう。ここでも転移魔法を使った。
月曜日なので共働きの両親は不在だ。
玄関で靴を脱ぐと、足早にキッチンの隅に置いてあるチェストに向かう。このチェストに銀行関係の書類を置いているのは知っている。
私は二段目の引き出しを開けて普段両親の通帳を入れているお菓子箱の中の底の方に下ろしてきた全額が入った封筒を数束隠し入れた。
「ちょっと怪しいけど、この中に入れていたらそのうち使ってくれるはず…。」
私の働いてから貯めていた全財産だ。よく考えれば生命保険も解約してお金を受け取っておけばよかった…。勿体ないことをした。
ゆっくりとしていられない。