あのときの月たち
わたしには
今まで恋人が3人いた。
中2のときに出会った彼は
ついに一度もわたしの名前を
呼んではくれなかった。
いつもわたしを おまえ と呼んで
嬉しそうに笑った。
あの笑顔が好きだった。
ヤスミチは男友達が多くて
いつも輪の中心にいた。
毎日毎日友達とくだらないことをしては
大笑いして
もともと細い目を、更に更に細くして
大きな口を開けて笑ってた。
そんな彼の笑顔を独り占めしたくて
彼に面白いことを言おうとするのだけど、
そこは中学生。
異性ってだけで身構えられてしまうし、
わたしも変なこと言ったら女の子として見てもらえないし
うまく踏み込めなかった。