Ⓒランページ




黒猫はすっと消え、キミは木の枝を手に茫然と立ち尽くした。


その時だ。僕も予期しないバグが発生する。


僕はこの後の流れを読んでいた。と言うか、こうなるようにと誘導したつもりだった。


「会わないように、今から魔法を使って『彼』を消してしまおう」


これが僕の狙いだった。でも甘かった。キミは突拍子もない行動に出る。


「出会ってはいけないのなら、せめて夢の中でだけでも出会ってみよう」


そして魔法を使った。彼をその場に出した。そしてキミは彼をじっくりと観察し、それから彼を舞踏会へ誘った。彼はそれに乗った。一緒に馬車に乗り、煌びやかな城の中、大広間でダンスを踊る。


僕は必死にそれを消そうとした。しかし僕がコードを打つよりも早く書き換えられていくコード。多少キミに影響が出るかもしれないけれどパソコンの強制終了も試みた。でも、いくら電源ボタンを押しても、コンセントを引っこ抜いても、キミたちは踊る、踊る、踊る……。


「くそ、消えろ、消えろ、消えろ」


踊る。


「消えろってば!」


踊る。


「消えろぉぉぉぉ!」


叫び虚しく、キミは踊る。



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