Ⓒランページ




踊り疲れたキミたちは、噴水に腰掛けた。


そばにガチャガチャがあってお互いに引く。


そしてそれからは。


それからは……。


キミは彼と別れる。汗を拭う。そして自分の唇に手を当て、頬を染める。乱れたドレスを整える。月を見上げる。一部始終を見ていた黒猫がキミを睨みつける。


「許せない」


黒猫が呟く。


「許せない、許せない、許せない!」


僕も一緒になって呟く。いや、そもそも黒猫なんかいたのか? ここは、部屋だ。何もない部屋。いや、かろうじてある。パソコンデスクにパソコン。飲みかけの缶ビール、本棚、ベッド、そしてベッドに横たわるキミ。


「ああ、僕の声か」



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