Ⓒランページ
アリスは黙った。唖然としていたのか、それとも僕が言ったことを理解しようとしたのか。いずれにせよ、アリスは黙った。
「ケン、あんたってホント性格悪いわね」
「いいや、あの子には負けるさ」
「ううん。あなたの方が性格が悪い」
僕はアリスの言っている意味がわからなかった。
「あの子の方が性格が悪いに決まってるじゃないか」
「いいえ、あの子の方がマシよ」
「キミはあの子の肩を持つのかい?」
「そういうわけじゃない。私だってあの子のことは殺したいほど憎んでる。化けて出れるものなら、あの子を呪い殺してやりたい。でもできなかった。私にはできなかったのよ、ケン。だって私は、きっと、あの日のことを……」
「違う。違うんだよ、アリス」僕はなんだか妙な胸騒ぎがした。
「あの子は人殺しだ。あの子はあの日、キミを……」
「もういい!」