Ⓒランページ
「だったらさ、それこそ今夜一緒にホテル行かない? あ、いや、変なホテルじゃなくて、普通のビジネスホテルだよ。そこで、一緒に夜まで話したりするだけなんだけど、どうかな?」
男のその提案に、キミはとても驚いた。どうしてこの男は嘘をついたことに対して、怒っていないのかという驚きと、その上をいく発想。そして、男の提案をとても面白いと思った。
「いいね! それ、すごくいい!」
「じゃあ、早速準備しよっか。俺どっか適当なビジネスホテルとっておくから、キミはそのジュエリーショップのお姉さんの家にある荷物を持ってきて」
「うん。わかった。そうする!」
キミは男と一旦別れ、僕の家へ歩を進めた。スキップのように軽やかな足取りは、東京の照り返してくる暑さを跳ね除けるような、何かベールでも身に纏っているような、そんなものだった。
キミはこの後とても幸せな気持ちになる。初めての経験をたくさんして、愛を感じる。そんな幸せなものに包まれて、溢れて、おかしくなってしまうほどに。
そして、僕の復讐は始まるのだ。死んでも許せないキミ。粗暴で、しかしとてもクールに。