Ⓒランページ




キミは黒猫におんぶされて一軒の歯医者に入った。


受付には眼鏡をかけたイノシシがいた。


「おや、患者かい?」


「そうなの。ちょっとした知り合いでね。カブトムシは空いてる?」


「あいにくクワガタしか空いていない」


「なんとかならないの?」


「待てるかい?」と言ってイノシシはキミのおなかを触った。


「緊急性はないようだ」


キミは腹痛のせいで気が遠くなりそうになった。


「クワガタでもいい」


わけもわからずキミがそう言うと、黒猫とイノシシは顔を見合わせた。イノシシがキミに聞く。


「本当に、クワガタでいいんだね?」


「うん。いい。もう我慢できないの」


「そうかい。それじゃ黒猫。89番の診察室にその子を運んでおくれ」



< 16 / 143 >

この作品をシェア

pagetop